インバウンドの成功事例【温泉】兵庫県 外国人に人気の城崎温泉 浴衣を着て7つの外湯をそぞろ歩き!

城崎温泉インバウンド情報

城崎温泉は「浴衣を着て、下駄を履いて,7つの外湯をそぞろ歩き」ということで有名ですが、6年間で外国人旅行者数を45倍に増加させたインバウンドの優秀温泉地です。

城崎温泉の勝利の要因は、

巨額な資金をつぎこんで新しいアトラクションや施設などは作らず、今ある資源を最大限に生かしながら、一方で、大量データの分析にもどついて、顧客の行動を徹底的に分析しながらシステマティックなインバウンド戦略を立ててきたところにあります。

一言でいうとハード面での勝負ではなく、ソフト面での工夫を行い、どこよりも勝利したということでしょう。

ここではそれらについて詳しく解説していきます。

城崎温泉とは

717年に城崎へ来た僧侶の道智上人(どうちしょうにん)が、難病の人々を救う為に、当所鎮守・四所明神の神託により、千日間の修行を行った末、 720年に温泉が湧出し城崎温泉が開かれました。

道智上人が一千日祈願して湧き出した「まんだら湯」で、これが城崎温泉のはじまりです。

城崎温泉といえば7つの外湯(外にある共同浴場めぐり)が有名ですが、「まんだら湯」も外湯の一つです。

まんだら湯

また、大きなホテルや旅館はなく、小さな旅館が通りにたくさんあるという温泉地です。

浴衣を着て、下駄をはいて、外湯をそぞろ歩き

6月から8月の夏季は入込客数が減少する傾向にあり,城崎観光協会は夏季の誘客を狙う新たな観光資源として色浴衣を導入しました。

特に、1994年に開催された「ゆかたのファッションショー」であり,観光客に対して「ゆかたご意見番」が浴衣の着方,立ち振る舞いを指導するというものです。

1996年には「ゆかた憲章」が制定され,同年二つの旅館が共同で城崎温泉初のオリジナル色浴衣を製作し,城崎温泉の名産品をイメージした柄がデザインされました。

浴衣は城崎温泉の観光資源の一つとして好評で,「ゆかたの似合うまち」は城崎温泉のキャッチコピーの一つとなりました。

近年では、「カラフルな浴衣を着て、下駄をはいて7つの外湯に行く」ということを体験できるということで、外国人にアピールし、人気の温泉地となったのです。

ゆめぱの導入

城崎温泉が外国人の受け入れを本格的に意識し始めたのは2008年に世界的に有名なガイドブック『ロンリープラネット』で紹介されたことからです。

これを受けて豊岡市は外国人観光客の増加を期待しましたが、実際には2011年になっても外国人観光客は増えませんでした。

そこで、Felicaチップを内蔵したICカードや携帯電話を7つの外湯の入場券として利用することができるシステム「ゆめぱ」を2010年11月から各旅館での導入ました。

使用方法としては宿泊客が旅館にチェックインする際に携帯電話やICカードをゆめぱ端末にかざし利用登録を行います。

これにより外湯先の受付や飲食店等の施設で代金を後払いにしチェックアウト時に一括で精算が可能になり、宿泊客の行動データを可視化し、行動パターンを把握するができるようになりました。

つまり、7つの外湯の男女別入浴者数が30分おきに確認でき、宿泊客がどの店で何を買ったかも把握することができるようになったのです。

これらのデータをもとに宿泊客の動きを予測できるようになりました。

Visit Kinosakiの運営開始

2013年頃から本格的なインバウンド戦略に力を入れ始めたのです。

具体的には、国内外の観光客誘致と情報発信を担う「大交流課」を設置し,総務省の「地域おこし企業人」の制度を活用し,旅行会社から社員を派遣してもらいました。

また、民間企業(豊岡版DMO)の力を取り入れて海外戦略を促進し、その結果,2011年に1,118人だった城崎温泉の外国人宿泊数は,2016年には44,648人となり,5年間で約40倍に急増させることに成功したのです。

城崎温泉の場合、大人数の団体客に対応できる大型旅館,ホテルが少ないため、アジアの団体客ではなく,日本へのインバウンドの中では比較的少数派の欧米の個人旅行客の誘致をめざし、米エクスペディアや蘭ブッキング・ドットコムなど欧米の旅行・ホテル予約サイトとの連携を深め,欧米の個人客の誘致に成功しました。

豊岡版DMO

外国人旅行者の向上を狙うため,2016年6月に豊岡版DMO「豊岡観光イノベーション(一般社団法人)」が発足しました。

DMOとは、「Destination Management/Marketing Organization」の略称で、観光地において戦略の策定や企画発案、商品開発、プロモーションなどを全て一貫して実施する組織体のことです。

欧米の観光地で発展した形態で、日本では、自治体の観光課や観光協会、地域の旅館組合などの組織が主になり、情報提供やプロモーションをするケースが多いです。

豊岡版DMOでは,高速バス大手のウィラー(大阪市)や地元のバス会社、全但バス(兵庫県養父市)や豊岡市に本店がある但馬銀行や但馬信用金庫などの企業が基金を出し、JTBと三井物産がそれぞれ社員を派遣して支援しています。

豊岡版DMOでは,インバウンドからの城崎温泉町のフリーWi-Fiの申し込み登録時に,インバウンドの属性登録を行い,そのデータを基に,国別,年代別の顧客ニーズを即時に把握し,城崎温泉滞在中のインバウンドの行動分析等を行っています。

つまり、城崎温泉は思い付きのままというよりも、データによる仮設・検証を繰り返しながら、インバウンド戦略を行ってきました。

この様なデータ分析を活用した地道な努力によって,2016年度の城崎温泉の宿泊客の43.5%が外国人観光客が占めるようになりました。

地域への利益を外部大手企業から守る

2015年には豊岡市も城崎温泉に関する英語の観光情報サイト「Visit KinoSaki」を独自で立ち上げ,宿泊予約機能を完備した。今では英語や中国語だけでなく,フランス語にも対応しています。

地域への利益を外部大手企業から守るために,城崎温泉街での町外資本の出店の制限をしています。

また、インバウンド観光の旅館予約システムにも自前のシステム英語版の宿泊サイト「Visit Kinosaki」を導入し、地域に落ちる金銭を他に取られない仕組みを作っています。

ターゲットを欧米豪の個人客に絞る

城崎温泉は小さな旅館しかないため、物理的に中国や韓国といった団体客を受け入れられないということもあるのですが、それを逆手にとって、欧米豪の個人客にターゲットに絞りました。

また、欧米豪の方は、買い物よりも文化体験的な「コト消費」を好む傾向にあるので、浴衣と下駄をはいてそぞろ歩きという体験ができるということを前面に出した戦略を立てていったということです。

英語による情報発信と運営

英語による情報発信として以下のようなことを行っています。

  • 城崎温泉駅前の観光案内所(英語対応のスタッフが常駐)
  • 英語版PR動画の作成
  • 海外で開催される旅行博等での城崎温泉町について発信

また,宿泊客はバスでの移動も可能で,城崎温泉駅から宿泊施設まで容易に移動できます。

大阪の駅からJRに乗ったのですが、社内も英語のアナウンス、駅も英語ができる駅員が迎えてくれ、しかも、駅には無料のバスが待っていて、自分が宿泊する旅館を聞いてくれ、旅館の目の前で降ろしてくれます。

下手に、大阪、京都に泊まるよりも、よっぽど交通の便がよく、外国人が迷わず行けます。

また、外湯などのスタッフにはポケトークを配布しているようで、外国語に対する対応もしっかりと行っているようでした。

英会話は頑張って学習したら、ある程度はできるようになると思いますが、その他の言語はどうしようもないですよね。

だからといって、何も対策をしないままだとどんどん外国人客は遠ざかっていきます。

多少経費がかかりますが、JRなど大手の鉄道会社で大量に導入しているポケトークを使って迎えるしかないかと思います。

インバウンド対策を行うなら、必須のアイテムだと思います。

ポケトークは、61言語を音声・テキストに翻訳し、21言語をテキストのみに翻訳できます。互いの言葉を話せない人同士が自国語のままで対話できるAI通訳機です。

以前と比べてかなりお安くなり、半額以下で1万円を切りました。

購入をお考えの方は今がチャンスです。

おわりに

実際に城崎温泉に行ってみて感じたことは、日本にはもっといい温泉地があるのに。。。なぜ、城崎温泉。。というのが正直な感想です。

広大な絶景の露天風呂があるわけでもない、湯畑のようなものがあるわけでもない、後楽園のラクーアや大阪のスパワールドのようなすごい快適でモダンな岩盤浴や温泉施設があるわけでもない。

正直言って、普通の銭湯のような小さな温泉施設が7つあるだけで、そこに浴衣と下駄をはいてそぞろ歩きということを掛け合わせただけです。

ただ、地域が一丸となって、外国人がスムーズに旅館にたどり着け、気持ちよく過ごせるようにあらゆるところで工夫されていました。

特に、駅に着いてからの駅員の対応と各旅館前までのバスの無料送迎には驚きました。

城崎温泉の勝利の一因は、地元の施設などはあまり大きく改善したり、巨額な資金をつぎこんで新しいアトラクションや施設などは作らず、今ある資源’(浴衣・外湯・小さな旅館)を最大限に生かしながら、一方で、大量データの分析にもどついて、顧客の行動を徹底的に分析しながらシステマティックなインバウンド戦略を立ててきたところにあるのではないかと思います。

つまり、雄大な露天風呂がなくても、すごい快適で広い温泉施設がなくても、今ある資源を最大限に生かし、地域が一丸となっていけば、戦略次第で外国人に人気の温泉地になれるということを証明したのが城崎温泉だといえます。

参考文献

岩間絹世(2017) 「城崎温泉における観光まちづくりの展開 -リーダー集団の人間関係に着目して-」『E-journal GEO』61-65

宇賀神 宰司(2017/08/29) 「外国人観光客が5年で36倍,城崎温泉の戦略とは」『日経ビジネス』1-3

日経BP社(2012/02/02号) 「誰もがスタートラインに」ビッグデータ大作戦『日経コンピュータ』32〜33掲載

MC Catalog+ やまとごころ編集部(2017/09/20) 「【専門家コラム Vol.18】インバウンド誘致で躍進する城崎温泉の戦略とは」

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